「地球号の危機ニュースレター」526号(2024年4月号)を発行しました。

北海道北部に風力発電が急増 石狩湾洋上と合わせ県別トップへ

樺岡ウインドファーム

樺岡ウインドファーム © 井田均

井田 均(市民エネルギー研究所)

2年後には県別トップに

 風力発電で北海道はここ数年県別で3位の座を維持している。ただ2018年末はトップの秋田県との差は1万1000kWと僅差だったのが、最近の2022年末は22万9000kWと大きくその差を広げられている。

 だがしかしそんな北海道の北部陸上に今年に入って大型風力発電所が続々誕生しつつある。2年後の2025年末には8つの大型風力発電所が完成・稼働。その増加発電能力は総計51万3100kWにもなる。一方、石狩湾には海上に風力発電所が建設中。今年2023年末には11万2000kWが稼働を開始する。

 両者を合わせると、増加分は62万5100kWにもなる。北海道の2022年末の風力発電の総出力が51万kWだから、2025年末の北海道の風力発電の能力は、

 51万kW+62万5100kW=113万5100kWと、2.2倍以上に増えることになる。 おそらく現在1位の青森県(2022年末73万9000kW)や2位の秋田県(同73万3000kW)を抜いて県別トップに座に就くのはほぼ間違いないと思われる。

5月に計画8月に出発

 5月ごろパソコン情報で石狩湾に洋上風力発電の建設計画を知った。良く見ると、前年の2022年9月に建設に携わる清水建設が「石狩湾新港洋上風力活電施設が起工」という情報を流していた。

 それによると、2023年6月にもSEP船(自己昇降式作業船)による施工が始まる、とあった。さらに石狩湾新港洋上風力発電設備は、新港から約1600m沖合、約500haの海域に計画されており、設備容量は112MW、接続容量は約99MWで、8MWのスペインのシーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー社が製造した風車を14基使用する。

 この風車、国内では最大級の1基8MW。何と8000kWもの大きさだ。タワーだけでも90mもある。それが高さ数㍍もの支持台の上に載るのだ。ナセルの直結するブレードは長さが80m。従って最高到達点は約170mにも達する。

 この大規模な風車を設置するために用意されたのがSEP船(自己昇降式作業船)である。全長142m、全幅50mで、総トン数は約2万8000トンもある。船底からはレグと呼ばれる「足」が出る。長さは90mと109mの2段階で、90mの時は10mから45mの水深に対応、109mの時は10mから65mに対応できるという。 メインクレーンは伸長時には1250トン、短縮時には2500トンの吊り上げ能力を持っている。この船は普段は室蘭にいるという。この事業のために室蘭から石狩湾へ移動して行くのだ。

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