「地球号の危機ニュースレター」547号(2026年9月号)を発行しました。

どんぶらこ取材こぼれ話 第84回 祝島にまたもスラップ、しかもトラップ? 〜不可解な調査をめぐる裁判:表は原発、裏は中間貯蔵〜

上関原発の建設予定地・田ノ浦に設置された(ままの)工事用仮桟橋ごしに、対岸の祝島をのぞむ © 山秋真

上関原発の建設予定地・田ノ浦に設置された(ままの)工事用仮桟橋ごしに、対岸の祝島をのぞむ © 山秋真

山秋 真

 祝島島民の方々が中国電力(以下、中国電)からまたも訴えられた裁判で、山口地方裁判所岩国支部は今年202635日、中国電の主張を認める判決を出しました。

 より正確にいえばそれは、祝島の対岸に原発を新設しようと計画する中国電が、原発新設のための海上ボーリング調査などを妨害するおそれがあるからとして祝島の漁船を一定の海域から排除することを、求めた裁判でした。

 訴えられ「被告」とされたのは、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」(以下、祝島島民の会)。ただ、祝島島民の会は漁船をそもそも所有していません。会員には、漁船を持っている人もいれば、持っていない人もいます。基本的な点でもチグハグな印象を否めません。祝島島民の会の口を封じるための、いわば第二次スラップ(恫喝)訴訟なのではないか? そのような懸念もやはり生じます。

 さらに、何度かこちらでお伝えしたとおり、提訴の翌年(2023年)に表面化した核のゴミ中間貯蔵施設の設置計画にかかわる大問題まで、この裁判をとおして浮き彫りになっています。だからこそ祝島島民の会の弁護団は、中国電の主張の欺瞞性を指摘していました。

 にもかかわらず中国電の主張を認める判決が出た以上、「黙っているわけにはいかない」と祝島島民の会は控訴に踏み切ります。714日には、控訴審の第1回口頭弁論が広島高等裁判所で開かれました。

 即日結審、つまり初回の期日だけで審理を終了して2回目の期日はもう判決、という展開もあり得ると、島民の会の弁護団は非常に警戒していたとか。フタを開けたところ、さすがに即日結審にはならず、今後の主張や立証をさらにしていくことになります。第2回の口頭弁論は910日予定となりました。

 とはいえ今後の展開については予断を許しません。大問題を広く共有することが急務と思われる一方、わずか2カ月足らずで次回期日、実際にはお盆休みも挟むので時間はさらに限られるなど、危機感も募ります。

 そこで有志で急遽、7月14日に行われた控訴審の報告集会の映像を、祝島の方々とともにオンラインで視聴しつつ裁判の経緯や注目点について発信する動画を作成して公開しました。

「緊急先行公開:上関原発・中間貯蔵問題と裁判の現状と深掘り」

「上関原発・中間貯蔵問題と裁判の現状と深掘り(高画質バージョン)」

(by 原発も核もないみんなの海を願う有志 with 上関原発を建てさせない祝島島民の会)

 同じ内容を、緊急先行公開版と高画質版の2パターンでご用意しています。前者は移動時間などに耳を傾けていただく音源として、後者はスライドにした資料を確認いただくのに、それぞれお役立ていただければと思います。

 よろしければ是非ご覧いただき、叶うならば周りの方々にもお勧めいただいて、世論を喚起していく一助としてくださると幸いです。

 

山秋 真

『地球号の危機ニュースレター』
No.547(2026年9月号)

 

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