「地球号の危機ニュースレター」544号(2026年6月号)を発行しました。

どんぶらこ取材こぼれ話 第82回 能登半島地震そして奥能登豪雨からの復旧の行方(その2)〜2026年珠洲市長選〜

珠洲市内における仮設住宅の一例 © 山秋真

珠洲市内における仮設住宅の一例 © 山秋真

山秋 真

 能登半島地震の震源地だった石川県珠洲市で、任期満了にともなう市長選挙が、2026524日に投開票されました。241月の大地震それにつづく9月の奥能登豪雨のあと、初めてとなる首長選挙です。

 6選を目指す現職の泉谷満寿裕(いずみや・ますひろ)さんと、前市議の新人・浦秀一(うら・しゅういち)さんの2人が立候補しました(いずれも無所属)。二重被災による甚大な被害で人口が急減する状況のもと、復旧にむけた諸政策や復興公営住宅のあり方などが、主な争点となっていました。

 この市長選挙に際して実施された公開討論会の内容は公共性が高いと考え、オンラインで視聴して文字起こししたものを数回に分けて共有させていただきます。今回は第2回目です。

2026年珠洲市長選挙・公開討論会(その2)

【住まいとなりわいの再建について(泉谷候補)】

 公費解体がほぼ完了いたしまして、住まいやなりわいの再建の動きが現れてきております。私は、令和6年の10月に、公費解体が軌道に乗った、どんどんどんどん公費解体が進んでいく、このままでは珠洲市に住みつづけていただける方が大きく減少してしまうのではないか、ものすごい危機感を感じました。

 そこで、議会のご理解もいただきまして、住宅の新築は独自の補助制度を設けました。新築に対しては、10%補助の上限200万円。そして18歳以下のお子さんのいらっしゃる子育て世帯の方については、15%補助の300万円といった形で進めましたし、一部損壊ですとか準半壊の方も利用できる、なりわい・住まいの修繕制度といったものも、これは1割補助でございますけれども、設けたところでございます。

 これまでにその制度を活用して300件近くの住宅が新築をされてきております。地域によっては随分、新築が進んできているところがございます。

 そして復興公営住宅の整備についてでございますけれども、これまでのコミュニティ、各町内といいますか在所といますか、そういったところを、維持を図っていくために、珠洲市内、大きく分けますと10地区でございますが、これをさらに細かく分けて36地区として、それぞれの地区の皆さんに新たな町の形について議論を重ねていただきました。

 そんな中で、その地域の皆さんが、それぞれの、この36地区のその地区の中で、ここで復興公営住宅をつくってほしい、そういった要望をいただいた、また候補地を選んでいただきました。

 それに基づいて現在、32箇所ないし33箇所の復興公営住宅、合計約700戸を、整備していくこととしております。これまでに既に12団地200戸余りを発注し、今月中には合計で15団地351戸の発注を終える予定としております。

 今年度中にできるだけ全てを発注し、再来年、2028年の春までには、ほぼ全ての復興公営住宅を完成してまいりたいと思います。29年の春までには、もう完了したい、そんな思いでおります。

 なりわいの再建でございますが、なりわい再建支援補助金も148件ご利用いただいておりますし、営業再開支援補助金も165件ご利用いただいております。

 特に農業については、農業機械再取得等支援事業で、609件のご利用がございます。そしてさらに新たなビジネスを生み出す、上限1000万円の、これも珠洲市独自でございますが、珠洲市起業促進支援補助金も設けており、これまで7件、採択いたします。

 これから漁業ですとか農業の共同利用施設の復旧が進んでいきますけれども、これについても、できるだけ自己負担が1割になるように、県と連携をしながら嵩上げをしてまいりますし、何といっても農地、農業用施設の復旧を、これから加速してまいります。

 生産性を高めることが重要でございます。農業においても10アールあたり3万円の補助がございます。こういった形を周知しながら、進めていきたいと考えております。

【浦候補から泉谷候補への質問】

 この、要望あった土地、候補地っていうのは、一部の人たちが調べられる範囲で調べた土地であったわけです。そして市民に対する意向調査では、戸建の選択肢が全くなかったわけなんですね。

 こういったことが、このまんま進められれば、終(つい)のすみかとなる復興公営住宅が、市民の思いとは全く違ったものになるという風に考えています。

 憲法でも、22条では居住、移転そして職業の選択の自由を、憲法22条で謳ってるわけです。ところが、市の復興公営住宅の、住まい意向調査では、戸建の選択肢が全くないんです。どの団地に入りたいですか、というような希望調査であってですね。これは本当に……復興公営住宅だと憲法に関係するのかどうかっていうのは、ちょっと私、分かりませんが……いま選択肢が非常に狭められている。

 そういった状態で計画を進められて、このままでいいとお考えでしょうか。よろしくお願いします。

【泉谷候補の回答】

 先ほども申し上げましたけれども、10地区をさらに細かく分けて議論を進めていただいてまいりました。それについて、各地区の皆さんの思い、それぞれに、復興まちづくり協議会であったり、そういったものを、構成をされて、組織をされて、進めてこられました。そのなかで、繰りかえしになりますけれども、復興公営住宅の建設予定地については、こういった場所、といったことで挙げていただいております。

 十分に議論を、皆さん重ねていただいております。それを、市民の思いと違うのではないかと言われても、それは地域の皆さんでご議論を重ねてこられた結果として、珠洲市といたしましても、その候補地のご要望あるいはその選択について、こちらも色々と対応しながら測量をし、また地権者の同意を得ながら、進めてきているところでございます。

 そんななかで、なかなか、戸数と、用地の面積からいって、戸建できればいいんですが、なかなか難しい地域については、どうしても、2つを1つにするタイプですとか、長屋タイプですとか、あるいは2階建て3階建てといったことに、なってしまいます。

 これは予算のこともあります。そういった面積のこともあります。総合的に判断して進めていく。そして何よりも重要なのは、迅速に整備を進めることだと思っております。極端な話、全てを戸建で700戸余りをつくるとなると、私は、これはもう10年かかっても難しいのではないか、15年20年かかってしまうのではないかと思っています。

【復興やまちづくりのプロセスについて(浦候補)】

 「何人(なんぴと)も、公共の福祉に反ない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とあります(日本国憲法第22条)。すなわち、居住権の選択は憲法で保障されているんですね。

 それを、時間がないからとか、土地の取得に時間がかかる、予算的な問題、そういう風なことで市民の選択権を奪ってはならない、という風に考えています。

 議会では、土地の取得について、時間がかかるという答弁をいただいたわけですが、私は、モデルケースとして、ひとつの町で大通り沿いに空地を、自分ひとりで調べてみたんです。

 そしたら、そこでは8割の方から土地の提供を申し出ていただきました。空き地の8割を、私ひとりで、たった4、5日で、提供するという答えをもらいました。

 それから残り1割の方は、前向きに検討するから、家族で話をしたいから、時間をください、という方が1割。もう1割の方は、土地は手放さないという方、そして、連絡が取れない方、ですね。そういった方が1割おいでましたが、ほぼ大半の方が、復興公営住宅を建てるなら土地を提供する、と申し出てくださいました。

 以上のことから、土地の取得は十分可能であると判断し、住まいの意向調査を改めてやり直し、道路沿いの町並みづくりに迅速に取り組んでまいります。

 分譲することも、相続することも、できない共同住宅が、大部分を占めている現在の計画は、将来的に約500世帯もの家が珠洲市からなくなることを意味しています。決して、市の将来を考えた、見据えた計画とは言えません。

 非常に多くの方が、戸建を希望されている現状があります。分譲可能な戸建を希望される方には、戸建を提供します。

 戸建を提供することで、子どもたちが帰る家を一軒でも多く残し、珠洲市の人口減少を遅らせ、珠洲の未来につなげる。私はこういう風に考えています。

 そのため、町の軸となる道路沿いに、戸建と長屋の建設を進めたいという風に考えています。今後のライフラインの整備や除雪などを考えても、現在の点在する団地建設に比べ、はるかに効率的だという風に思っています 。

 また、物価高騰のなか、自力再建・改修工事をされた方が、たくさんおいでます。その方に、新たな補助金制度を制定し、復興公営住宅との格差を少しでも縮めたいという風に考えています。財源は復興基金で対応します。(つづく)

 

山秋 真

『地球号の危機ニュースレター』
No.544(2026年6月号)

 

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