「地球号の危機ニュースレター」533号(2024年11月号)を発行しました。

(東欧便り)中央アジアにつながるトルコ

ボスポラス海峡からのイスタンブール。左端にビザンツ時代以来の大聖堂・モスクのアヤソフィア

ボスポラス海峡からのイスタンブール。左端にビザンツ時代以来の大聖堂・モスクのアヤソフィア ©岡部一明

イスタンブール再訪

 前に書いた通り、暖かいギリシャ、クレタ島、カイロで「越冬」し、3月にイスタンブールまで帰ってきた。

 スーパーのレジで、ビニール袋要るか聞かれたのがわからずまごついていると、後に並んだおじさんが「アルメニアかウズベクか」と聞いてきた。それなら話せるぞ、という口ぶりだった。(俺がウズベク人に見えるか!)

 そして翌日、別の店のレジで。受け取った私のクレジットカードをながめて、「カズア……あなたはカザフスタンから来たのか」と聞いてきた。うん、これならわかる。カザフスタンには私たちに似た人たちが居る。

 「いや、日本人、ジャポンだ。」と言うと、「おお、ジャポン。トーキョー、ヨコハマ…」と言ってカードを機械にかざす。いつも通りのやり取りだ。名古屋だと言ってもわからずめんどうなので「東京だ」ということにしておいた。

 顔カタチよりも、つらがまえ、雰囲気で人物を探知しているようだ。私も旅が長引き、風景に溶け込んだ図太い顔になってきたのだろう。するとだいたい中央アジアからかと思われる。

ラグメンの味

 宿近くの下町を歩いていると、食堂の看板に焼きうどん(チャオメン)らしきメニュー写真があった。Lagmanと書いてある。これだ、前に新疆ウィグル自治区(中国)を旅した時、よくラグメン(Lagmen)を食べていた。言葉の響きからして日本のラーメンや中国の拉麺、拉面との関係が類推できる。ウィグル系だが中華料理に影響され、しょうゆ味で、麺もスパゲッティーではなく「うどん」だ。私の口に合う。今回の旅では東欧からトルコまで麺料理はあまりなく、あってもケチャップ味のスパゲッティーだった。

 「焼きうどん」を食べたい。入って食べた。うまい。確かにラグメンだ。平らげてから店の青年に聞く。「ここはウィグル系なの?」。

 「いや、トルクメニスタンだ。」との答え。なるほど中央アジア諸国にもラグメンは浸透しているのか。記憶が薄れたが、やはり前訪れたウズベキスタンやカザフスタンにもラグメンはあったのかも知れない。トルクメニスタンにも行きたくなった。

 その青年も、(英語がたどたどしいが)トルクメニスタンから来たと言っていた。なるほど、トルコには、同じテュルク系のコーカサス、中央アジア方面の人たちが結構入ってきているのかも知れない。それ以後お店の看板などを注意して見るようになったが、この辺(私の宿はマルマラ海沿いのYenikapi地区にあった)では、「ウズベク」と読める看板が多い。(「ソマリ」とか「アフリカ」などの文字も多く、確かに黒人の人たちもよく見る。)

しょうゆ味焼きうどんのような食感のラグメン
しょうゆ味焼きうどんのような食感のラグメン @岡部一明

ヤクート人?

 もう一つ別のラグメン表示のお店があった。こちらは確かにウィグル系料理店と看板に書いてある。しかし、中国人(漢族)の人たちも結構来ていた。イスタンブールには中国レストランというのはあまりないから、ウィグル系のレストランがその代わりになっているのだろう。

 しかし不思議だ。ウィグル料理とは書いてあるが、看板の漢字には「薩哈拉面館」とある。薩哈はヤクート人(サパ人)のこと。ロシア連邦のシベリアにヤクート(サパ)共和国という広大な少数民族「自治」国がある(日本の国土の倍の面積)。これもテュルク系で、顔立ちは私たちに似たモンゴロイド系。世界で最も東に住むテュルク系という。中国国内にも少数ながら住むらしいから、新疆ウィグル自治区出身のヤクート系中国人が運営するレストランということなのかも知れない。英語が通じそうもないので詳しくは聞けなかった。

ヤクート系のお店か
ヤクート系のお店か @岡部一明
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