「地球号の危機ニュースレター」533号(2024年11月号)を発行しました。

11月26日(月) 講演「主要農産物種子法廃止後の今 〜生産の現場で何が起きているのか、北海道帯広より」

Photo credit : © YABUTA-FARM© PARC

講演「主要農産物種子法廃止後の今
〜生産の現場で何が起きているのか、北海道帯広より〜」

 今年4月、主要農作物種子法(以下、種子法)が廃止されたことは、農薬や化学肥料による大量生産が行われている十勝で自然農法の試行錯誤を続けてきた自然農法家にとって青天の霹靂で、「先人が遺してくれた固定種や在来種が外資に奪われる、原種が遺伝子組換えの種で汚染される」と直感しました。半年が経過し、いくつかの都道府県では主要穀物の原原種(純粋の種)や原種(親世代の種)の生産に支障がないように条例を制定されたが、その条例に罰則があるとは聞いていない。

 北海道では、国の委託先となったホクレンや農協等が説明会を行い、「種子法廃止前と変わることがない、民間参入によってさらに良い品種の開発や低価格化が推進される」と言う。この種類の誤魔化しには枚挙に暇がない。無種子流通、財源措置の確保、適正価格での国内生産、特定事業者が種子を独占し弊害が生じないよう務めるという付帯決議。その条例や付帯決議が有効であるなら、多国籍企業は自由な販売や開発を阻害するとして訴えるであろう。

 野口種苗の野口勲さんが、必死に護ってきた日本固有の固定種や在来種も、種苗法改正により遺伝子組み換え作物の栽培で汚染される可能性が高く、私たち自然農法家も安全な種を手にすることができなくなってしまう。一旦汚染された種を戻すことは未来永劫出来なくなる。消費者の皆さんが必要とする「遺伝子組み換えでない」という表示も実質的に意味をなさなくなる。私たちは選択肢を奪われるのである。固定種在来種の自家採種とその権利が守れるよう、種子法廃止、種苗法改正の弊害を防ぐため「主要農産物等の知的財産権保護法」を制定すべく、生産者と消費者が力を合わせなければ未来はない。

・DVD『種子(たね)―みんなのもの? それとも 企業の所有物?』(解説編/30分)上映予定 ※ 本編の上映は予定しておりません

薮田秀行さんプロフィール
故・薮田貞治郎氏(東大農芸化学名誉教授、理化学研究所農産研究室主任、農芸化学学会長)の孫として1956年に生まれる。76年近畿大学農学部入学の翌年、祖父逝去により農業に目覚める。80年に食品加工会社に入社、18年間勤務。95年、帯広農業塾に入塾し、98年から北海道十勝へ移住。2002年に就農。05年には自然栽培に移行し、09年に株式会社やぶ田ファームを設立。

参考 やぶ田ファーム

原題:SEMILLAS, ¿bien común o propiedad corporativa?/制作:Radio Mundo Real/2017年(PARCオリジナル日本語版 2018年)/スペイン語(日本語字幕・日本語吹替え)/本編41分+解説編30分/日本語版製作:アジア太平洋資料センター(PARC)、監修:印鑰智哉、翻訳:伊香祝子、吹替版収録:土屋トカチ、制作統括:内田聖子

参考 DVD『種子―みんなのもの? それとも企業の所有物?』アジア太平洋資料センター(PARC)

イベントの開催概要

 日 時  2018年 11月26日(月) 19:00〜21:00(開場18:30)

会 場  大竹財団会議室(東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル11階)

交 通  JR東京駅八重洲中央口徒歩4分(八重洲地下街24番出口すぐ)
       東京メトロ京橋駅7出口徒歩3分
       東京メトロ日本橋駅B3出口徒歩4分

講 師 薮田秀行さん(自然農法家、やぶ田ファーム)

参加費  一般=500円/ 学生、大竹財団会員=無料

対 象  一般(どなたでも参加可能です)

定 員  30名(要予約)

主 催  一般財団法人大竹財団

チラシ  20181126flyer