「地球号の危機ニュースレター」533号(2024年11月号)を発行しました。

フェリー乗り継ぎ韓国へ 訪れたソラシド太陽光

展望台から撮影したソラシド太陽光発電所 © 井田 均

展望台から撮影したソラシド太陽光発電所 © 井田 均

井田 均(市民エネルギー研究所)

乗客は少なめ

 オーシャン東九フェリーの大型船「びざん」は、汽笛も鳴らさずゆっくりと東京港の晴海にあるふ頭を夕方の6時に出港した。寝るための小部屋から食堂兼ラウンジに出た。そこからは外に展開する外洋が満喫できる。椅子に腰かけてくつろぐ。まだ夕方の気配すら感じられない。船は、自宅から成田空港へ行くとき必ず渡る大きな橋の下をゆっくりと通過して行く。

 このフェリーに乗る乗客は、貨物を運ぶトラックなどを運転するドライバーが大部分で、あと乗用車に乗った観光客が少し。私のように車を持たない乗客がわずか数人いるだけ。

 東京・晴海を夕方に出て、四国の徳島港に翌日の午後に寄港し、最終の北九州・門司港には翌々日の早朝5時35分に着くという足掛け3日もかかる運航スケジュールに問題があるのか、トラックドライバーにも観光客にも人気はいまひとつなのかもしれない。乗客は多くないようだった。おかげでゆったりと過ごすことが出来た。

食事は豊かとは言えず

 やがて辺りは薄暗くなってきた。お腹も減ってきたが、このフェリー「びざん」には食堂が無い。たくさんの冷凍食品の自動販売機が並んでいるだけだ。もちろん解凍・加熱用の機器は用意してある。

 事前に東京の自宅で印刷してきた「船内食品メニュー」の中から、かなり美味しそうな写真が掲載されていた「炒飯」を購入してみた。写真は、容器に山盛りになっている炒飯だ。しかし自動販売機から出てきたものは平べったい容器に入れられたもので、食欲をそそるものではなかった。

 だが、他に食べるものは無い。家の近くのコンビニで買っておいた500mlの缶入りアルコール飲料と一緒に流し込んだ。

 食べ終わると辺りは真っ暗。持参した本を少し読んで早めの就寝。

徳島で大部分が下船

 太平洋を西に向かっていたフェリーは、翌日の午後1時過ぎに四国の徳島港に停船した。まずトラックなどが続々と下船してゆく。続いて車無しの乗客が下船していった。すると船内に残った乗客はわずかになってしまった。

 その後、フェリ-は2時間の滞在を経て出航した。徳島港は四国の北東部にある。四国の東側海域をここまで北上してきたのだから、徳島港出航後はそのまま北上を続け、四国と淡路島の間の鳴門海峡を通過し瀬戸内海に入り西に向かうのが、目的地の新門司港への最短ルートだろう。

 だがその方向へは行かず、フェリーは徳島港から南下した。四国の南側を西に向かうようだ。これは瀬戸内海が混雑していて、安心した航海が困難だという理由だと推測した。フェリーは四国本土からかなり離れた南側の海域を通っているようで、しばらくすると陸地は見えなくなってしまった。

 時々は通過して行く貨物船なども見える。しかしそれとても特に珍しいわけではない。一度は甲板に出てみた。しかしやたら暑いので閉口して船内に戻った。

早朝に起きる

 翌朝は何と早朝の535分に北九州・新門司港に着いた。北九州・新門司港からはJR門司駅へ移動したい。そこからJRに乗ってJR博多駅に行き、2、3km離れた博多港から韓国・釜山行きのフェリーに乗るのだ。

 フェリーが着く新門司港とJR門司駅は数km離れている。この間に公共交通機関は無い。しかし前日、船の乗務員に聞くと、タクシーの相乗り制度があると聞き、船内で乗車券を440円で購入できた。

 新門司港に着岸した。まずトラックなどの車両の下船。少なめの車両がいなくなるといよいよ車無しの乗客の番だ。船を降りるとタクシーが待っていた。タクシーに乗ったのは私ともう1人、中年の女性だった。ほどなくJR門司駅に着くと料金は3000円近い額を示していた。恐らく我々が徴収された1440円と3000円近い料金との差額は、オーシャン東九フェリーが負担してくれているのだろう。

 その後6時少し過ぎに電車に乗り換え、8時ちょうどにJR博多駅に到着。

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