流木を探すおじいさん
物体の散乱するその浜で、一人のおじいさんが何かを集めていた(いや、私もおじいさんなのだが)。津波はすごかったですねえ、と話しかけたら、これは津波ではないと言う。海流の関係でこの辺にゴミがたまり、風で乗り上げてくるのだ、と。この浜で育ち、昔から流木を集める趣味があったという。きょうもいろいろ面白い流木を見つけた。「ほら、この流木はまるで鷹のように見えるだろ」と流木を見せる。なるほど、鋭い目の鷹の頭部そっくりだ。
老人はあの地震のときも浜で流木集めをしていたという。そろそろ切り上げて帰ろうと川べりを上り始めた時、4時10分の揺れが襲った。津波は能登半島の東側が中心で、幸い羽咋の浜はあまり影響がなかったらしい。震源がもう少し半島西海域に寄っていたら、このおじいさんはあぶなかったかも知れない。