「地球号の危機ニュースレター」526号(2024年4月号)を発行しました。

能登地震:ボランティア初動の課題

テレビで映像が何度も流れた被害が大きかった場所。何とか車が通れるまで復旧されていた © 岡部一明

テレビで映像が何度も流れた被害が大きかった場所。何とか車が通れるまで復旧されていた © 岡部一明

海沿い、川沿いで大きい被害

 死者7名、建物被害6775棟、避難者1718名(15日現在)の七尾市。駅から港の方に歩きだして、前にここに来ていることに気づいた。何年か前、1回分残った青春18切符を消化するため、北陸方面行けるところまで行き、たどりついたのが七尾だった。川に沿って海に続く道に見覚えがある。その両側の街並みに所々、崩れた家が。海岸部につくられたショッピングモール「能登食祭市場」(別名:七尾フィッシャーマンズワーフ)」も損傷していて、周りは明らかに液状化現象が見られた。閉店してだれも居ない。周りにも人が居ない。

 正直なところ、七尾までの被災地では、完全に崩れ去った建物は意外なほど見なかった。そういう場所の報道だけ見ていると固定観念が生まれる。実は7日に「被災地・金沢」に着いたとき、普段と変わらない駅の近代的都市空間で老若男女が楽しそうに歩いているのを見て衝撃を受けたくらいだ。特に内陸部や高台では、少なくとも外見上は損傷をほとんどない。だが、(内灘町が典型だが)川・海・干潟などの近くでは被害が大きく、全壊はもちろん、たとえ崩れていなくても、部分的な損傷、道路との段差や亀裂が目立つ。

閑散とした七尾駅前。ホテルなどは開いていない。水が出ない状態では当然だろう。量販店、スーパー、コンビニなどは開いていた © 岡部一明
閑散とした七尾駅前。ホテルなどは開いていない。水が出ない状態では当然だろう。量販店、スーパー、コンビニなどは開いていた © 岡部一明
港に面したお土産ショッピングモール「能登食祭市場」(別名:七尾フィッシャーマンズワーフ)」。観光客でにぎわう所だが、被害を受けて休業。入口には「負けないぞ、七尾! 皆んなで支えよう能登半島」の垂れ幕が © 岡部一明
港に面したお土産ショッピングモール「能登食祭市場」(別名:七尾フィッシャーマンズワーフ)」。観光客でにぎわう所だが、被害を受けて休業。入口には「負けないぞ、七尾! 皆んなで支えよう能登半島」の垂れ幕が © 岡部一明
海岸部は液状化の被害が大きい。広場や路上にこうした亀裂、段差が多く見られる © 岡部一明
海岸部は液状化の被害が大きい。広場や路上にこうした亀裂、段差が多く見られる © 岡部一明

羽咋に泊まった

 七尾に行った16日、金沢まで戻る予定だった。断水している七尾では宿も開いていない。水が復旧している羽咋でもかなりの宿が休業していた。が、一応調べると、3800円の宿が営業しており、かつ空きがあった。泊まらない手はない。動き出した経済にきちんとカネを落とすことも重要だ。こぎれいなビジネスホテルでバス・トイレ付き。かなり勉強している宿と見た。

 建物に損傷はなく(だから開いている)、周囲でも復旧作業をしている様子はなかった。近くの大型スーパーは普通に開いており(混雑なし)、何でもモノが買えた。

 宿に入ってすぐ(16日午後6時42分頃)、比較的大きな余震があった。この地域の人々にとってはそんな大きいとは言えないのだろうが、どきりとした。隣町の志賀町では震度5弱を記録したという。

 翌17日、この時期の日本海側としては珍しく雲一つない快晴。海岸(千里浜)に出てみると、浜に大量のゴミが打ち上げられている。こんなところまで津波が来たのか。

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