「地球号の危機ニュースレター」529号(2024年7月号)を発行しました。

〈アフリカの旅1〉故郷アフリカに帰ってきた

Table Mountain

ナミビアを目指しまずケープタウンに。背景はTable Mountain © 岡部一明

岡部 一明

 アディスアベバで乗り換え、ケープタウン行き飛行機が雲海を過ぎ、アフリカ南部の砂漠地帯が見えてきたとき、私の心に高揚感がおそった。ついに故郷に帰ってきた。

© 岡部一明

 いや、私は純然たる日本人だ。アフリカ系ではない。だが、ここが故郷だったことを知っている。

日本人はアフリカから来た

 日本人はどこから来たのか、起源をめぐる議論が延々とある。しかし、日本人は(も)アフリカから来た。それでいいじゃないか。

 縄文人がどうの、弥生人がどうの、という「ちっちぇ議論」はここではいい。私もあなたも、日本人もモンゴロイドも、私たちホモサピエンスは皆5万年以上前、アフリカらか来た。以上。ピリオド。終わり。

 この複雑な地形と多様な気候をもった大陸は、多くの異なる人々をはぐくみ、様々な遺伝子の混交を生み、太古の原人からホモサピエンスまで多様な人類、ホモ属をつくりだした。現在でも、この大陸に生きる人々、おおざっぱに「黒人」と分類されてしまっているが、彼らにはユーラシアに生きる人々よりもはるかに多様な遺伝子がはぐくまれ、数百万年にわたる豊かな進化史の痕跡を残している。

 確かにアフリカは日本からは空間的にも文化的にも遠い。肌の色も違うかも知れない。だからか、私たちはアフリカから来たにもかかわらず、起源をこの地にまでたどろうとする意欲が薄いのかも知れない。

コイサン族登場

 が、ここでコイサン族に登場して頂く。狩猟採集民のサン族(ブッシュマン)、遊牧・牧畜民のコイコイ族(ホッテントット族)は言語、身体的特徴が互いに似ており、合わせてコイサン族と言われるようになった。(サン族はかつて蔑称でブッシュマンと呼ばれていたが、現在はサン族と言われる。しかし、ブッシュに棲む人々という意味で誇りをもって自称する人々も多いという。コイコイ族はホッテントットと呼ばれてきたが、これは事情を知らなくても明らかな蔑称に聞こえる。彼らの舌打ち音(後述)を揶揄する侮蔑語だと言われる)。

 現在でこそ、アフリカ南部のカラハリ砂漠などに追い立てられてしまっているが、数万年、数十万年前の太古には南、東アフリカの相当広い世界に居住していたとされる。ある時期にはホモサピエンスの最大多数の人々であり、人類と言えば彼らだった。人類の中でも最も古い時代の遺伝子をもち、熱帯雨林のむこう、カラハリ砂漠周辺に隔離されることで、過去の激動の人類進化史を今日に伝えている。

私たちに似ている

 このコイサン族の人たちが私たちモンゴロイドに似ている。例えば下記の画像、動画参照。

コイサン族(サン族)の人

コイサン族(サン族)の人。Photo:Ian Beatty, Wikimedia Commons, CC BY-SA 2.0 DEED

ナミビアのコイサン族(サン族)の兄弟姉妹

ナミビアのコイサン族(サン族)の兄弟姉妹。Photo: Nicolas M. Perrault, Wikimedia Commons, CC0

ナミビアのコイサン族(サン族)家族

ナミビアのコイサン族(サン族)家族。Photo: Rüdiger Wenzel, Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0 de

 その他にも例えば、

The Khoisan people
byu/enigmaaa99 inAfricanHistory

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