「地球号の危機ニュースレター」532号(2024年10月号)を発行しました。

【日本と東南アジアで急増する水上太陽光発電】⑤ (終章) 台湾・彰化縣で増加中 近年に世界最大の期待大

辰亞と厚固が建設した水上太陽光発電

@井田均

台北の経済部工業局を訪問

ヴィエンチャンからバンコク経由で台北に到着した時刻は深夜だった。急いで市内のホテルに駆け込んだ。翌日は早起きしてタクシーで台湾政府の経済部工業局を訪れた。3年前の2019年の訪台の時、台湾のエネルギー情勢に関していろいろ教えてもらった陳盈竣氏に会うためだ。 入口近くに設けられた場所で待っていると、陳氏ともう1人、若い男性が現れた。鍾政霖氏といい、日本語を話せる。 2人の話をまとめると、『辰亞と厚固の2事業の建設工事はすでに2020年11月に完了、181MWの発電事業を行っている。華暄と聯合再生は2022年10月に工事の着工許可が出されたばかりだ。もうすぐ海上に工事の成果が表れ始めるだろう。辰華は工事中で2023年12月の完成を目指している。さらに辰華の南の海域にも水上太陽光発電施設を建設する計画がある』ということだった。 この海域に建設されている水上太陽光発電は、現在完成或いは姿かたちを現しているものは、辰亞と厚固の181MWと辰華の67.26MWで合計248.26MWもある。 現在世界最大の水上太陽光発電所とされているものは、中国山東省徳州市の200MWだ。248.26MWはこれを凌駕し、世界最大の水上太陽光だと言える。 さらに今後、すでに着工が許可されている華暄の85MWと聯合再生の92MWが、恐らく2、3年の工事期間を終えれば加わる。総合計で425.26MWの超大規模な水上太陽光発電所になる。 しかも経済部工業局のお2人によれば、辰華が建設されている海域のさらに南の海にも別の新たな水上太陽光発電施設の建設計画があるというのだから・・・。 そうなればこの「崙尾東區」の水上太陽光発電所は、桁外れの規模を持つ超大規模な水上太陽光発電所となることだろう。

彰化へは鈍行列車で

翌日は台北から水上太陽光発電所が建設されている台湾中西部の彰化へ行った。列車で行くのだが新幹線もある。実は3年前は新幹線で行ったのだが、彰化で下車した新幹線の駅が彰化の中心部から遠くて難行した。それで今回は在来線を使う。在来線には2ルートがあり、山側を行く山線と海岸付近を走行する海線だ。風車などの再生エネルギーは断然海線の方が多いのだが、本数は山線の方が圧倒的だ。 幸いなことに海線に乗れた。乗って1,2時間たったころ、車窓から海上風車群が見えた。あわてて次の竹南駅で下車した。タクシーに乗り行ってもらう。 予想より近かった。すぐに港のような所に着き、その向こうの海域に洋上風車が広がっていた。 東京電力と中部電力が2015年に創ったエネルギー会社のJERAが2017年に4000kW機2基と6000kW機20基を建設した「フェルモサ1」と、8000kW機47基を2019年10月に建設開始した「フェルモサ2」に違いないと確信した。 洋上風力発電機群を見るのに最適な展望台も設置されており、快適な撮影が楽しめた。 竹南駅に戻り列車に再乗車。彰化駅に着いたのは夕方の5時前後だった。駅近くに予約してあったホテルにも簡単にチェックインできた。

話を聞く前にまず現場

朝起きると少し風邪気味だった。真夏と変わらなかったタイ・ラオスからやって来た台湾は意外に寒く、東京の12月と違いがほとんど無かった。 先ず彰化市役所へ行った。3年前発電風車の事を教えてもらった張孟偉氏に会うためだ。だが張氏は不在だった。そういえばこの日に訪れる事は伝えてあったが時間までは言ってなかった。ただ1時間後には戻るという。 外へ出た。喫茶店ででも時間を潰そうと考えたのだ。だが適当な店が無い。どうしよう。ふと、まず現場を見てみよう、と思った。少し待つとタクシーも来た。「線西水道の水上太陽光発電へ行って」と運転手に言っていた。
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