「地球号の危機ニュースレター」533号(2024年11月号)を発行しました。

〈アフリカの旅5〉バスで北上、ナミビアへ

© 岡部一明

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岡部 一明

 前述の通り、南アでのコイサン集落訪問は、交通手段などの面で難しく、一路、北方のナミビアに向かうことにした。ナミビアには「サン族の首都」と言われる北部ツムクェなど、コイサン文化が色濃く残る。

旅ルート図。南ア・ケープタウンから北上し、ナミビア首都ウィントフック、「サン族の首都」ツムクェ、さらにザンビアのリビングストン方面へ。Map:Janwillemvanaalst, Wikimedia Commons, CC-BY-4.0

旅ルート図。南ア・ケープタウンから北上し、ナミビア首都ウィントフック、「サン族の首都」ツムクェ、さらにザンビアのリビングストン方面へ。Map:Janwillemvanaalst, Wikimedia Commons, CC-BY-4.0

 2024512日、南アのメジャーな長距離バス「インターケープ」で、ケープタウンを出た。ナミビア首都ウィントフックまで週4便(水木金日)がある。所要約22時間。料金は変更自由度で3段階に分かれ、Full Flexible1350ランド(約11000円)だった。

 平凡なバスの旅を報告してもしょうがない、とも思ったが、南アからナミビアのバス旅ってどんなものか想像がつきますか。私とてまったく想像がつかなかった。だから、それを報告しておくのも役に立つと考え直した。日本では見られない乾燥地帯の旅だったが、道路もバスもそれなりに立派で、寝心地も悪くなかった。

バスは、2階建てのゆったりした「スリーパー」クラスで、座席がかなり後ろに倒せる。私は夜行バスが苦手なのだが、今回はよく眠れた。道路も、高速道路に準じた道で、快適走行だった。トイレも付いている © 岡部一明

バスは、2階建てのゆったりした「スリーパー」クラスで、座席がかなり後ろに倒せる。私は夜行バスが苦手なのだが、今回はよく眠れた。道路も、高速道路に準じた道で、快適走行だった。トイレも付いている © 岡部一明

ケープタウンを出た後は、だいたいこのような風景が続く。最初は農地、牧場も見るが、しだいに乾燥地帯、サバンナ的風景になっていく © 岡部一明

ケープタウンを出た後は、だいたいこのような風景が続く。最初は農地、牧場も見るが、しだいに乾燥地帯、サバンナ的風景になっていく © 岡部一明

交差する道路を撮ったが、バスの走る道も同じような高速道路だった © 岡部一明

交差する道路を撮ったが、バスの走る道も同じような高速道路だった © 岡部一明

こんな農地?も © 岡部一明

こんな農地?も © 岡部一明

ブドウ畑か。夜行バスは景色が見えないのが難点だが、半日、同じような景色で、まあ、これだけ見られれば十分か、の気分に © 岡部一明

ブドウ畑か。夜行バスは景色が見えないのが難点だが、半日、同じような景色で、まあ、これだけ見られれば十分か、の気分に © 岡部一明

何だこのオブジェは。休憩のサービスエリアで。バスは、出発して約2時間おきに15分休憩を2回とった。余裕だな、夕食休憩もゆっくり取るのだろう、と思っていると、午後5時の休憩の後、深夜近い国境検問まで一気に走り続けた。バス内にトイレがあるとは言え、行ける時にとにかく行っておくのが得策。食事時間も特に取らないようで、休憩は常に15分。その短い間に、あるいはバスの中で、適当に何かかじっておけということのようだ。高いレストランに入れられるより、安く貧食で済ます私には願ったり © 岡部一明

何だこのオブジェは。休憩のサービスエリアで。バスは、出発して約2時間おきに15分休憩を2回とった。余裕だな、夕食休憩もゆっくり取るのだろう、と思っていると、午後5時の休憩の後、深夜近い国境検問まで一気に走り続けた。バス内にトイレがあるとは言え、行ける時にとにかく行っておくのが得策。食事時間も特に取らないようで、休憩は常に15分。その短い間に、あるいはバスの中で、適当に何かかじっておけということのようだ。高いレストランに入れられるより、安く貧食で済ます私には願ったり © 岡部一明

次第に乾燥度が増していく。このあたり(南ア北部)は大西洋岸側のナミブ砂漠が近いはずだ © 岡部一明

次第に乾燥度が増していく。このあたり(南ア北部)は大西洋岸側のナミブ砂漠が近いはずだ © 岡部一明

乾燥した大地に夕日が沈む © 岡部一明

乾燥した大地に夕日が沈む © 岡部一明

深夜のナミビア国境で

 「Go in front」(前に行け)

 とバス添乗員(車掌?)に言われた意味がわからなかった。

 南アフリカ(南ア)からナミビアへの国境検問所。両国以外の外国人用に別の窓口があるのか。皆が並ぶのを尻目に、ふらふらと「前の」別の窓口を探しに歩いた。でも、何もない。寝入りばなを起こされて頭はもうろうとしている。すると、

  「こっち、こっち」とくだんのバス添乗員は私の手を取り、列の前の方に連れてきてくれた。そこにお年寄りが数人居たので、やっとわかった。そうか、あの親切なバス添乗世話係は、気を利かせて高齢乗客を列の前の方に移動させてくれていたのだ。確かに入国手続きで長く並ぶのは大変だ。そうか私も年寄りに見えたか

 それで思い出した。ケープタウンで長距離バスに乗るとき、停車場の窓ガラスに写った私の姿を見て驚いた。髪が真っ白じゃないか。まわりにこんなに髪が白い人は居ない。黒人は白髪になるのが遅いらしいし、南アにはまだ若い人が多い。だから白髪は少なく、私は、自分の髪の白さにびっくりしてしまったのだ。

バス旅の国境通過はだいたい深夜になる

 それにしても国境を越える夜行バスというのは、だいたい深夜や未明に国境検問を通ることになる。眠いところを起こされ、訳のわからない手続きに長時間並ばされる。気の利くバス添乗員が高齢者を優先してくれたのはありがたいが、それでもやはり皆が終わるまで外で待たされる。南ア出国とナミビア入国で計2時間はかかったろう。そしてナミビア入国検問が終わってやっと眠れると席に着いたら、また降りろという。今度は、巨大なクレーンのようなスキャナーで大型バス全体を透視にかけるという。その間ずうっと外に待たされ、私は夜空を見ている他なかった。

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