岡部 一明
再び、どうやって行くか
前稿の通り、サン族に触れるにはナミビア北東部遠隔地の「サン族の首都」ツムクェに行く一択。しかし問題は、どうやってそこにたどり着くか。バスも鉄道も乗り合いミニバスも行っていない。砂利道が250キロ続く。歩けないし、自転車も問題外。車があっても、途上にガソリンスタンドがほとんどなく、車体の損傷も激しい。十分なガソリンと食料、水を用意して行くように、夜の走行は道路の状態から自損事故が多く、野生動物との衝突事故もあるので控えるように、などのアドバイス。首都ウィントフックから車をチャーターした場合、料金は片道8000Nドル(約7万円)とも言われた。
イチかバチか、幹線道路を行けるところまで行き、砂利道に入るところで車を待ち250キロを有料ヒッチハイクする他ない。それが可能か確証はないが、2024年5月22日、とにかくインターケープのバス便があるグルートフォンテイン(Grootfontein)まで行った。
まずはグルートフォンテインまで
グルートフォンテインを通るインターケープ・バスも週3本あるだけ。ナミビア首都ウィントフックから、幹線国道B8号線を北上、ザンビア国境を越え、ビクトリア滝の起点リビングストンまで23時間かけて走っている。だから場所によっては夜中や未明に着くとか出るとかになり利用が難しい。幸い450キロ北のグルートフォンテインは夜の9時半着発だったので、辛うじて利用できた。
グルートフォンテイン(人口2万6000人)も、この辺では主要都市ということだが、やはり遠隔の村。ちょっと行くと民家が切れ、広大なサバンナ景観になる。それでも一応、本格的なスーパーがあり、物資が何でも手に入るのはありがたいことだった。