「地球号の危機ニュースレター」532号(2024年10月号)を発行しました。

6月13日(木)「最後の一滴まで ―ヨーロッパの隠された水戦争」上映会+トーク

映画『最後の一滴まで ―ヨーロッパの隠された水戦争』

 私たちが生きていく上で必須である「水」。2010年、国連総会は安全な飲料水へのアクセスを人権の一つとする(The Human Right to Water)原則を承認しました。しかし1990年以降、世界の多くの国・自治体において水道サービスの民営化が進み、途上国での水へのアクセスもまだ多くの課題が残っています。

 日本でも2000年以降、水道事業への民間参入の道が開かれてきました。2018年6月、国会で水道法の改正案が審議され、今まで以上に民間企業が水道事業に参入しやすくなる「コンセッション契約」の推進を含む改正が検討されています。水道事業は民間企業が担えばうまくいくか? 公共サービスとは何か――? 日本の私たちに突き付けられている喫緊の課題です。

 こうした中、ヨーロッパをはじめ多くの国・地域における注目すべきトレンドがあります。それは、民間企業が担ってきた水道サービスを公営に戻す動き、すなわち「水道の再公営化」です。2000年以降、世界では835件以上の水道再公営化が行われてきました。それを牽引するのがヨーロッパの大都市の事例です。住民の運動や地方議員からの提起によって水道事業が公共の手に取り戻されているのです。再公営化を果たしたパリ市やベルリン市などの行政当局の担当者や議員は、「民営化という幻想」を強く批判しています。

 一方、2008年の欧州債務危機によって深刻な打撃を受けたギリシャやポルトガル、アイルランドなどの国々には、欧州連合による財政再建計画の一環として水道事業の民営化が押し付けられています。背後には、これらの国々を新たな投資先として狙う水道企業と、その企業と密接につながるフランス政府などの存在があるのです。再公営化によって水道サービスを公共に取り戻した自治体と、いままさに民営化を強いられている自治体――。同じヨーロッパにおいても、両者の姿は明確に異なります。

「水道サービスは誰が担うべきなのか?」
「水は商品か、人権か?」
「民主主義・自治は機能しているのか?」

 ヨーロッパの人々の問いは、日本の私たちにも大きな示唆を与えてくれます。

監督:Yorgos Avgeropoulos/配給:Small Planet Productions/原題:UP TO THE LAST DROP―THE SECRET WATER WAR IN EUROPE/ギリシャ/2017年/59分/日本語版監修:岸本聡子(トランスナショナル研究所〈TNI〉)/日本語字幕:内田真木子/日本語版編集:脇元寛之(株式会社SGN)/日本語版企画・制作統括:内田聖子(PARC)/日本語版制作:特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)/2018年

参考 「最後の一滴まで ―ヨーロッパの隠された水戦争」日本語版公式ホームページアジア太平洋資料センター(PARC)

事務局

定員に達しましたので予約受付を終了しました。あしからずご了承ください。

イベントの開催概要

 日 時  2019年 6月13日(木) 19:00〜21:00(開場18:30)

会 場  大竹財団会議室(東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル11階)

交 通  JR東京駅八重洲中央口徒歩4分(八重洲地下街24番出口すぐ)
       東京メトロ京橋駅7出口徒歩3分
       東京メトロ日本橋駅B3出口徒歩4分

講 師  内田聖子さん/アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表

参加費  一般=500円/ 学生、大竹財団会員=無料

対 象  一般(どなたでも参加可能です)

定 員  30名(要予約)

主 催  一般財団法人大竹財団

チラシ  20190613flyer


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