医の倫理と戦争
いま医療の現場で何が起きているのか
現在の日本の医療現場が抱える様々な問題の根底には、第二次世界大戦における医療関係者による戦争犯罪への加担と、その隠蔽という事実がある。石井四郎が率いた「731部隊」に所属する医師たちは、中国人への人体実験を繰り返し、敗戦後その事実を隠蔽しただけでなく、人体実験で得た“ 知見” を自らの功績にかえ、戦後日本の医学界の中心に上り詰めた。そうした負の歴史と向き合い、「医の倫理」を掲げて戦争反対の声を上げ続ける医療関係者たちがいる。本作では、731部隊の真実を追いながら、現在の医療現場が抱える様々な問題に取り組む医療関係者たちの今を取材した。
【企画者の言葉】
2013年に秘密保護法、201 4年に防衛装備移転三原則、2015年に安全保障関連法、2017年に共謀罪の創設、そして沖縄で、日本の各地で、米軍だけでなく自衛隊のミサイル基地が、弾薬庫が、着々と新たに作られている。多くの人々が、戦争に備える必要性を受け入れ始めているようにもみえる。戦争に備えることは、国策に動員され戦争に加担していく過程であったことを歴史から学ばなければならない。とりわけ医療者は戦争に真っ先に動員される。ナチスドイツに匹敵する日本の医療者による戦争犯罪の事実は、医療者さえも詳らかには知っていない。医療者が戦争に加担した歴史が、戦後アメリカとの密約のもと覆い隠されたまま戦後の医療界は形作られてきたからだ。戦後80年の節目に、映画でインタビューに応じてくれた各人からの共通のメッセージ、「戦争に備えるのではなく、医療者は戦争を起こさないことに全力をあげるべ き」を届けたい 。「倫理は法よりも高い基準の行為を要求し、ときには、医師に非倫理的行為を求める法には従わないことを要求します」。これは世界医師会の『倫理マニュアル』にある一文。「戦争を起こさないこと」はもちろん、「悪法には従わないこと」、それは容易なことではない。それでもなお、医の倫理にこそ従うべきであることが、真に医療者に問われている。伊藤真美(安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会)
イベントの開催概要
| 日 時 | 2026年 4月 7日(火) 19:00〜20:20(開場18:30) |
| 会 場 | 大竹財団会議室 東京都中央区京橋1-1-5 セントラルビル11階 八重洲地下街24番出口・右階段すぐ |
| 交 通 | 京橋駅 日本橋駅 |
| 参加費 | 一般=500円 学生=無料 |
| 対 象 | 一般(どなたでも参加可能です) |
| 定 員 | 24名 要予約 |
| 主 催 | 一般財団法人大竹財団 |

©2025 Siglo

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上映会後の感想
《映画の感想》
敵味方に関係なく誰であろうと人命や健康を守ることが使命であるはずの医師や看護師。そんな医療従事者たちが医療費の削減や病院経営の逼迫するなか、助ける人とそうでない人を選別してしまい、なにより大切な使命を忘れてしまっていた。疑問に感じたとしても行動しない従順すぎる人たちばかりで、また戦前と同じ過ちを犯さないか不安になりました。ただ、医療従事者のみならず一般世論的にもそれも仕方がないという空気はないか。戦争に関して言えば、イスラエルの世論調査でイランへの攻撃を8割の人が支持している調査結果をみても、戦争を支持している人が大多数。殺人を肯定していることに驚きます。これは宗教や民族のせいだけではない。実際に80年前はそうだった日本人。彼らと私たちは違うなんてとても言えないのでは。こんな時代だからこそ戦争に対する倫理についてもっと多くの人たちと真剣に議論したり勉強する機会を持ちたいと思った良い映画でした。
《もっとも印象に残ったシーン》731部隊の元隊員・胡桃沢さんの証言映像。この証言映像はだいぶ前に見た記憶がありますが何度見てもホントに気持ち悪い。300体もの人体解剖(=殺人)をして「731部隊は悪魔ばかりじゃなかった。聖人もおったわけです」と笑みを浮かべながら言う。「ただ殺したのではなく、研究のために殺したんだから、お国のためでもあるし、研究のため、人を助けるためにやったこと」。ただの殺人は「悪魔」の所業だが、研究のための殺人は正当化どころか「聖人」と言ってしまう異様さ。
《映画の感想》
いまの日本の厚労省、医師会、製薬会社や医療従事者たちは731部隊のような戦前と同じ過ちを繰り返さないか、この映画はまさにハンナ・アーレントが提唱した「悪の凡庸さ」を想わせられた内容でした。その医療者版と言えます。アーレントが指摘したのは、巨悪はけっして狂信者が起こすものではなく、思考停止した組織の命令に従うだけの平凡な役人が起こすということ。上からの命令を疑うことなく従順に従う医療者は誰もがホロコーストの実務者だったアドルフ・アイヒマンになりうる。日本の医療者はもう戦争に加担する準備が十分に整っていると言えるかもしれません。真面目な人ほど積極的に戦争に加担してしまった歴史の教訓を忘れないようにしたい。
《もっとも印象に残ったシーン》最初に出てきたデモのシーン。反対表明をしたりデモをすることはとても大事。とはいえ歌を歌ったりするのって逆に沿道の人たちに拒否感や反感を植え付けてないでしょうか。逆効果としか思えない。主張自体は大いに大賛成することですが、アプローチが絶望的に残念な印象を受けました。あれでは少なくとも若者の支持は得られないと思いました。
《映画の感想》
戦後日本の医療現場の惨状の原因のひとつに、こういうことがあるのかと、ヘンに納得。人を人とも思わず生体実験を行い、生き延びた医療者が、戦後の平和と経済的な恩恵を存分に浴びてこの世を去った。なんの反省もせず…。ああ、それで、水俣病が表に出ても、原因物質が有機水銀と認めず、何年も放置して患者を増大させる。原爆被爆者だって、放射能障害は半径数キロ内だけにあるから、症状があっても患者と認めないことが延々と続けられている。薬害エイズだって、ウィルスがあると判明しているのに患者に血液製剤を投与し続け、被害者を増大させたし・・・。今の福島で起きている子供の甲状腺がんの多発も、この延長線上にあるのだろうと思われる。どうなってんだ、この国は!!!
《もっとも印象に残ったシーン》戦後数十年は、生きていた731部隊の従事者の話。アメリカの占領が終わったら、もっと追及して、話をさせなきゃいけなかったのだと痛感した。
《映画の感想》
映画に出てきた資料や書籍の一覧があるといいな〜
《映画の感想》
知らないことばかりの映画で大変勉強になりました。
《もっとも印象に残ったシーン》医学生の2割ほどしか731部隊を知らないというところです
《映画の感想》
731部隊を隠蔽した事が、戦後医療制度の原罪になっていると知った。大政翼賛会がほとんどそのまま残って戦後政治の根幹になったのと同じ構造だ。
《もっとも印象に残ったシーン》行動することで何も変わらないかもしれないが、行動しなければ間違いなく悪くなる。としたら行動するしかない。という言葉。
《映画の感想》
私はNPO法人731部隊・細菌戦資料センターの元会員で、多くを学んできました。また、1989年に、(私の住む)新宿区の国立感染症研究所の敷地内で人骨が大量に発見され、ここは731部隊を率いた石井四郎が在籍していた陸軍軍医学校跡地だったため、新宿区は焼骨差し止めを求めたうえで専門家に調査を依頼しました。最終的に佐倉朔博士による鑑定(佐倉鑑定)により、発見された人骨には銃創痕や実験的な手術の痕などがあることが明らかにされています。「安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉関係者の会」は、初めて知りました。蛇足ですが、上映会には島薗進先生(東大名誉教授)が参加されていて私もご挨拶しました。島薗先生は医者の家系で東大医学部に進まれましたが、当時医学部から始まった東大紛争があり、島薗先生は文学部の宗教学を専攻されることになり生命倫理も専門とされています。私が東洋英和女学院大学大学院の死生学領域で学んでいる時、島薗先生は、東京大学大学院人文社会系研究科の21世紀COEプログラム「生命の文化・価値をめぐる「死生学」の構築」の拠点リーダーで、私は島薗先生から多くを学ばせていただきました。
《もっとも印象に残ったシーン》731部隊ついて語る人達の映像です。戦争は、普通の人を悪魔?に変えてしまうことを実感し、心に刻みました。
《映画の感想》
異国人(外国人)や社会的弱者の人権、尊厳をないがしろにする構造が過去も現在も日本社会を支配していることを改めて実感しました。そこにメスを入れる地道な医療者の取り組みの一方で、権力者はこの構造をより盤石なものとしようとする現状…。でも諦めてはいけない!と登場者の言葉に鼓舞されました。
《もっとも印象に残ったシーン》精神科看護師・随筆家や,緩和ケアの医師だったと思いますが、諦めてはいけない!というシーン
《映画の感想》
よい映画でした。勉強になり、心に響くものでした。
《もっとも印象に残ったシーン》「かにた」の天羽シスターのお話
《映画の感想》
色々盛りだくさんの内容でした。後半の内容が重かったです。みてよかったと思います。
《もっとも印象に残ったシーン》かにた夫人の村の天羽さんの姿が印象に残りました。100歳に近づこうとしている天羽さんの世の中への思い。


